息子は、年中の6月からエコールにお世話になりました。私は、国家資格を活かして２つの仕事を掛け持ちしていたので仕事が忙しく、息子は生後3か月から保育園育ちで、恥ずかしながら息子のことは、保育園とベビーシッターさんに任せっきりで、母親として何一つ満足にできていませんでした。ただ、仕事柄、同僚は男性ばかりの環境ですが、お子さんを私立小学校に入れている家庭を多く見てきたこともあり、小学校受験はもともと考えておりましたので、息子が3歳を過ぎて、私も仕事をセーブする決心をし、年中から幼稚園に転園し、受験環境を整えることにしました。
　エコールに入った頃は、おそらく息子の状態を偏差値で言うなら、30くらい、つまり底辺だったんじゃないかと思います。ひとりっ子で、年齢よりもずっと幼く、自分の気持ちや意志を言葉で伝えることもできず、勉強どころか絵や工作、身の回りのことすらきちんと出来ない・・・そんな4歳でした。エコールの体験に伺ったときは、正直、断られるのではないか、そういう不安でいっぱいだったのを覚えています。けれども、先生方は温かく迎えてくれて、それこそ何から何まで、一から教えてくださいました。
　お授業の内容は、ペーパー、巧緻性、行動観察等、多岐にわたりますが、毎回、口頭試問（面接）を意識した問答の時間がありますので、特に息子のような話すことが苦手な子にはありがたいお授業でした。ペーパーも少人数だからこその観察力で、一人一人の弱点をしっかりと把握して頂いたうえでの指導を行ってくださり、お授業の後は丁寧に課題克服のためのアドバイスを頂けるので、家庭学習も効率的に進められたと思います。ペーパーについては、エコールから出される宿題は決して少なくないと思いますし、それに関連する市販のドリルを復習のために併用することで十分に対応できるので、あれこれと他に手を広げる必要はないと思います。また、エコールの先生方の強みは、たくさんありますが、一番は、やはり「生活力のある子」に育ててくれることじゃないでしょうか。今の小学校受験では、ペーパー力や運動能力だけでなく、考査を通じて「その子の本質」を見極めようとしていると感じました。言い換えれば、考査を通じて、子供を見ているというよりも、子供を通じて母親がどう育ててきたか、どう接してきたかという「過程」を見ているような気がしました。そういう点では、私はまさに０点からの出発で、恥ずかしい思いばかりをしてきましたが、先生方はそれでも母親の自尊心を大切にしてくれながら、言うべきことはきちんと厳しく言ってくださり、丁寧にやるべきことをご教示くださいました。
　また、夏休みからの個別授業では、志望校を意識した特訓をしてくださいました。親が家で出来ることは一生懸命やったつもりですが、先生方はやはり受験のプロでいらっしゃるので、学校別の特徴や求める子供等の情報に基づいた指導は、先生方でなければ出来ないことです。暑い中、毎日のように熱心にご指導くださいました。
　息子は先生方にとって、決して扱い易い子供ではなかったと思います。とにかく口数が少なく、こちらの質問の内容を理解させることに時間がかかる時期もあり、本当に根気のいることだったと思います。それでも、熱心に、そして愛情深く、本当に私たち親子と二人三脚で走ってくださいました。小学校受験を通じて、エコールでは、合格という結果以上に、子供の成長だけでなく、私たち親も成長させて頂いたと心から感謝しております。